SHIKOの道

〜海外の最新洋書と好きな音楽を中心に〜 まずは試行と思考を高い志向で

異文化理解力―語学やマナーよりも大切な力をどのように伸ばすべきか?

相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
グローバルで活躍するために必要なことは?と聞かれたら、「英語」と言ってしまう。
英語ができないと、活躍できるフィールドは日本に閉じられてしまう。
周りでも英語を勉強する人は多いし、
世間をみても、就職活動や出世にはTOEICの高得点は必要不可欠となった。
今後、社内公用語を「英語」とする企業はより増えていくのだろう。

しかし、「英語」が最も重要であるか?と問い直されたら、答えは変わってくる。
なぜなら、英語ができなくてもコミュニケーションできる人はたくさんいるからだ。
一方で、英語が話せても相手のことを理解できず、衝突を繰り返しモノゴトがうまく進まないこともある。

そう、コミュニケーション力
人と信頼関係を築くために必要不可欠な力

もっとうまく人とコミュニケーションを取れたら、、、
海外でも働ける!チームメンバーが日本人じゃなくてもやっていける!
こんな自信をもっと持つことができるのに・・・

僕自身もそんな不安を持っていた。そんなときに出会ったのがこの本
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異文化理解力 エリン・メイヤー
洋題: The Culture Map Breaking Through The Invisible Boundaries Of Global Business

大切なことは相対的に考えること

異文化間の軋轢はなぜ、生まれるのか?例えば、日本の職場にデンマーク人が働いているとする。

日本の職場では「佐藤さん」や「鈴木部長」といったように、
上司や目上の人には、敬意をもって話しかけるのが日常だ。
上下関係をきちんととするという日本の文化だ。

一方で、デンマークは違う。
デンマークでは、社長と言えど社員と同格、清掃員より少し上という認識なのだ。
なので、リーダーもあくまで役割の一つという認識であるため、
傲慢に思われないために、カジュアルな格好をしたり、社員にはファーストネームで呼んでもらったりする。逆にファーストネーム以外で呼ばれると戸惑うというのだ。
日本ではありえない。部長を「昭夫!」とか言ってしまったら、もう職場いられない。

このような状況下で我々は何を考えるべきか?
それは、上下関係を築くことが「絶対的」ではない問いことを認識することだ。
ある文化の中に居続けると、その習慣が絶対的でなものであると、無意識的に思い込んでいるのだ。

相対的に考えるために、まず視覚化する
本書の凄いところは、異文化を理解するためのツール「カルチャー・マップ」を提唱していることだ。
この手法はハーバード・ビジネスレビューやフォーブスで紹介され、
著者のエリン・メイヤー自身もThinkers 50にノミネートされるなど、今まさに世界で注目されている。

カルチャーマップは8つの指標を元に、文化を視覚化する

1.コミュニケーション:ローコンテキスト vs ハイコンテキスト
2.評価:直接的ネガティヴ・フィードバックvs 間接的なネガティヴ・フィードバック
3.説得:原理優先vs応用優先
4.リード:平等主義vs階層主義
5.決断:合意志向vsトップダウン
6.信頼:タスクベースvs関係ベース
7.見解の相違:対立型vs対立回避型
8.スケジューリング:直接的な時間 vs柔軟な時間

各指標の詳細は本書を読んでみてください
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視覚化することで相手の理解が広がり、接し方が変わる。
誰もが関係を良くしようと思っている。
一人一人に歩みよりがこのカルチャーマップから生まれるのだ。
そして何より、自分自身の文化をより深く理解することができる。
普段当たり前で気づかないようなことが、実は幸せな事だったりする。

エリン・メイヤーも本書でこう述べている。
本書であなたの国の文化について不満を言っていたり、批判をしていたり、驚いている人の声が紹介されていても、あなたへの人格攻撃だと受け取らないようにしてほしい。そう受け取るのではなく、世界の未知の文化についてのみならず、あなた自身の文化を知る機会にしてほしい。あなたの泳いでいる水を、陸生動物のような気分になって外から見て、感じて、味わってみよう。素晴らしいと感じるはずだし、思考だって広がる。

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養