SHIKOの道

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チャリティーではない?節税対策でもない?ザッカーバーグが本当に実現したいこと

ザッカーバーグが自社株の99%を慈善事業に寄付

12月に入り、今年も終わろうとしているところにビックなニュースが飛び込んできた。
Facebookザッカーバーグ氏が自社株の99%慈善事業に寄付するというのだ。

Facebookのザッカーバーグ氏に第1子が誕生 保有する自社株99%を慈善事業に寄付

Facebook最高経営責任者(CEO)、マーク・ザッカーバーグ氏は12月1日、自身のFacebookページを更新し、妻のプリシラ・チャン氏との間に、第1子が誕生したと発表した。ザッカーバーグ氏は同時に、次世代の子供たちのための慈善事業を推進するために、自身が保有する自社株の99%を、生涯にわたって寄付する計画を明かした。
Our hopes for your generation focus on two ideas: advancing human potential and promoting equality.Advancing human potential is about pushing the boundaries on how great a human life can be. (Omit) Promoting equality is about making sure everyone has access to these opportunities -- regardless of the nation, families or circumstances they are born into.

 保有する99%のFacebook株の金額はなんと約450億ドル(約5兆5300万円)になる。とてつもない金額だ。

節税対策だろうって言う批判

blogos.com

大量の資産を保持する人間は社会貢献のために「寄付」という形で何らかの「団体」を設立する。すると、あくまで社会に対する「寄付行為」でしかないので、その金額に該当する税金が免除されるという仕組みだ。なので、アメリカの多くの富豪たちがドネーションを行うのだが、実態はただの節税対策だったりするのが実態なのだ。
「慈善団体」を設立し、そこにザッカーバーグ氏本人や娘を役員として登録する。
実際に設立した新しい団体の保有する株式の売却権は、ザッカーバーグ氏本人が保持するという。
 
日本の報道だけをみていると、寄付のために99%株式を手放したかのように思われるが、そうではない。
アメリカは寄付文化が根付いているというが、その寄付が根付くための社会システム、
つまり寄付した方にメリットがあるのように、仕組み化されているのだ。
 
なので、今回のザッカーバーグ氏の行動も、よくアメリカで行われている「節税対策」だという人も少なくない。

 

ザッカーバーグが本当に実現したいこと
「人間の可能性の発展および次世代の子供たちの平等性推進」彼らが掲げるビジョンは素晴らしいと思う。
節税対策だけのためのアクションではないと信じたいので、もう少し考えてみたい。

www.fastcompany.com

Fast CompanyのBrams氏によると、今回の件はチャリティーではないと主張している。

そう、節税対策なんだよね?と思い、記事を読み続けるとどうやら、単なる節税対策でもなさそうだ。

この記事のポイント

  • ザッカーバーグは、Charityではなく"Philanthropy"という言葉を敢えて使っている。
  • 慈善団体ではなく、有限"会社"の設立。有限会社のNPO組織は合法で節税の対象にもなり得るが、それが認められるのは非常に稀だ。
  • 会社とすることで既存の慈善団体よりも、フレキシブルに資金を運用できる。収益は、次のプロジェクトのために使用する。
CharityとPhilantropyは日本語に訳すと両方とも「寄付」になる。しかし、英語での使われ方が少し違う。
Phi-lan-thro-py: goodwill toward one's fellow men esp. as expressed through active efforts to promote human welfare.
Char-i-ty: the kindly or sympathetic disposition to aid the needy as a result of deep feeling or understanding of their misery or suffering.
Charityは悲惨な人たちの気持ちに同調して何か行動を起こすことに対して、Phianthropyはもう少し大きな枠組みで対象を捉えている。環境問題を根本から止めるなど人間の発展そのもの関わることだ。
確かに、ザッカーバーグ氏が起こそうとしているのはCharityではない、Phiantthropyにあたる。
 
ここからは、 僕の推測も含むが、この壮大なビジョンを達成するには、既存の枠組みでは不十分だと感じているのではないか?
以前からザッカーバーグ氏は寄付熱心だ。しかし、上手くいかなった例も多い。
ニューアークの公立学校に2億ドルを寄付したケースはまさしくそうだ。

toyokeizai.net

ニューアークでは多くの子供が凶悪犯罪や家庭不和、赤貧にさらされ、筆舌に尽くしがたいトラウマを抱えてきた。学校改革運動は高い志を掲げ、「応急手当はすべきではない」と言いながら、その影響を被る子供たちへの配慮が足りなかった。子供たちは何よりも生活の安定を必要としているのに、この環境下で2億ドルをどう使えば最良なのかもろくに考察されなかったのである。
なので今回は既存と枠組みに違う団体、有限会社としてスタートしたのではないか?
より効果的に資金を使うために、ビジネスの良い点を上手く採用することで、これまでのNPOでは解決出来なかった領域にチャレンジしようとしているのではないか?

なので、僕は単なる節税対策ではないと思ったのだ。みなさんならどう考えますか?
Fast Company [US] July - August 2014 (単号)

Fast Company [US] July - August 2014 (単号)

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