ナチュラル・ボーン・ヒーローズ―人類が失った"野生"のスキルをめぐる冒険

1941年5月、地中海の要衝クレタ島侵攻したヒトラーは、24時間以内の制圧うを命じた。しかしそれは、歴史に残るレジスタンス戦の幕開けとなった。のちのニュルンベルク裁判で死刑を宣告されナチスの最高司令部総長は、クレタに抵抗がなければ「戦争の勝者は違っていた」と嘆くことになる。－安穏に暮らすクレタの羊飼いたちは、なぜ一夜にしてウルトラランナーとなり、30kgの荷物を背負って雪に覆われた崖をよじ登り、ゆでた干し草だけのわずかな食料しか摂らずに夜を徹して80km以上を走り、グシュタボの暗殺部隊に追い詰められながら伝令として山々を駆け抜けたのか？歴史を変えた<クレタ走り>、都市を野生にジム変える<パルクール>、強さと耐久力の源泉となる<筋膜>と<脂質>、現代に蘇る<スーパーフード>、人類が知る唯一の動き<ナチュラルムーブメント> -失われた<英雄>のスキルをさがしえに新たな冒険へ。

少し長くなったが、これはある本の後ろ表紙を引用した。

僕はこの文章を読んで、この本を無性に読みたくなった。

その本とは、『NATURAL BORN HEROES 人類が失った"野生"のスキルをめぐる冒険』

世界300万部のベストセラー『BORN TO RUN』のクリストファー・マクドゥーガルの最新作。

ナチュラル・ボーン・ヒーローズ―人類が失った"野生"のスキルをめぐる冒険

この本の舞台はギリシャの南にある地中海の島、クレタ島。

1941年に勃発した旧ドイツ軍との戦い、いわゆるクレタ島の戦いで有名である。

 

クレタでは、成人のことを「ドロメウス」と呼ぶらしい。

意味は『ランナー』。一人前の大人には、人を助けるために駆けつけられる強さが求められていたのだ。

 

この強さにヒトラー率いる旧ドイツ軍も苦戦を強いられた。

本には、超人離れしたエピソードがいくつか載っている。

 

• ドイツの詮索隊より常に一歩先んじていた。
• 力みのないしなやかさで、何時間も岩から岩へ飛び跳ねていていった。
• 女たちも尋常ではない重さ荷物を運び、長い距離移動し、雪や暗闇をもろともせずやっていくことができた。

羊飼いをしながら生活をしていた一般市民が、古代ギリシャの英雄のようにドイツ軍と懸命に闘ったのである。

 

彼らの強さとは何か？

クレタの人々にとって、体の強さはあくまで「ひとつのスキル」と捉えていたのである。

そして本当の強さとは、体に中のあらゆる道具の使い方を知っていることと考えていた。

人類の歴史上、長きにわたり、英雄の技術とは何か偶然身につく類のものではなかったのだ。それは最適な栄養、肉体のセルフコントロール、心を整えることに徹した多分野にまたがる努力の賜物だった。

まず大切なのが栄養だ。
最近では、炭水化物や糖質の摂取を警告する本が増えている。

ジョコビッチの生まれ変わる食事

テニスのジョコビッチ、バスケのコービーブライアントは糖を断つことでパフォーマンスをあげてきた。

本書も同様に良質な脂肪を取得することを推奨している。

つまり脂肪を摂取し、その脂肪を燃やすことでエネルギーを捻出するのである。

NBAのレイカーズでは、牧草飼育の牛肉、人道的に育てられた豚肉、生ナッツ、ヘーゲルナッツバターなどを中心に組み立てられているそうだ。

 

次に肉体。この本では、筋肉ではなく、筋膜に注目している。

筋膜とは、筋肉と筋肉を繋ぎ合せている部分のこと。

筋膜の重要性のポイントは2つ。

1つは人間の動作のほとんどは、筋肉ではなく筋膜に由来しているということ。

もう1つは、筋膜は神経(インプットの感覚)と繋がっているため、人の動作を記憶する。

現代人が、クレタの人のようなパフォーマンスを発揮できないのは、デスクワークなどの固定動により、筋膜が硬直してしまっているからだ。

そのため、神経が鈍くなり、情報が伝わりにくくなり、疲れが溜まりやすくなっているのである。

 

なので、我々は野生に帰り、失ったスキルを取り戻さなければならない！

と言いたいところだが、社会の中で生活している限り、難しい。障壁や誘惑がたくさんあるからだ。

だからこそ、古来ギリシャの英雄のような心が必要となる。

心のコントロールはいつの時代も変わらず必要なのだ。

我々はこの本を手に取り、野生のスキルを取り戻す冒険に、そろそろ旅立たないといけないのかもしれない。

ナチュラル・ボーン・ヒーローズ―人類が失った"野生"のスキルをめぐる冒険

Natural Born Heroes: The Lost Secrets of Strength and Endurance

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”