SHIKOの道

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ディズニーがStar Warsにかけた「神話」という魔法-現代の神話作りに必要な3つの要素とは?

ついに公開されたStar Wars最新作
先週、12/18(金)に公開されたStar Warsの最新作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」
オープンニング週の興行収入が世界歴代1位となった。
*日本では妖怪ウォッチの方が観客動員数は上だったようだ。
僕自身、まだ観ていないが、今年中には観に行きたいと思っている。
「LOST」を大ヒットさせたJ・J・エイブラムス監督がどのようにStar Warsを撮ったのかに非常に興味があるからだ。
 
これまでのStar Warsと大きな違いがある、
それは制作会社の変更だ。
2012年にディズニーがルーカスフィルムを40億ドルで買収した。
ディズニーにはこれまでのルーカスファンを納得させつつ、新しいファンを獲得することが求められている。
 

Economistが考えるStar Warsとディズニー

今週のEconomistでも、Star Warsをトップ記事に取り上げれていた。

www.economist.com

Having bought Pixar, Marvel and Lucasfilm, Disney has skilfully capitalised on their intellectual property—and in so doing, cemented its position as the market leader in the industrialisation of mythology. Its success rests on its mastery of the three elements of modern myth-making: tropes, technology and toys. 
ピクサー、マーベルとルーカスフィルムを買ってきたが、ディズニーは巧み知的財産権を資本に組み入れてきた。そうすることで、神話の産業におけるマーケットリーダーとしての地位を固めたのだ。その成功は、現代の神話作りの三つの要素、比喩、テクノロジー、おもちゃにかかっています。
現代の神話作りには3つの要素が必要だと書かれている。
 
  • 修辞技法から作られる物語、それが人々の心に共振する
Start with the tropes. Disney properties, which include everything from “Thor” to “Toy Story”, draw on well-worn devices of mythic structure to give their stories cultural resonance.
ディズニーの作品には全て、人々の心を共振する神話の物語の上に描かれている。
我々がディズニー作品を観て、非日常の世界に引き込まれるのはこの神話の力だ。
神話とは、何か?
我々は日常、苦しみ、悩み、それを乗り越えるために仲間を見つける、自分自身と向き合ってこれまでの執着を手放す、誰でも生きる過程で何度も通る道だ。
どんな物語もメタファーから構成される。その物語は悲しみを伝えたいのかもしれないし、喜びを伝えたいのかもしれない。
しかし、全ての物語が現代に語り注がれたわけではない。その一方で生き残っている物語も存在する。
それは、人々の心に強く共振したからこそ残っている。それこそが「神話」なのだ。
アメリカのジョーゼフ・キャンベル氏が「神話」の研究を進めていたが、初代Star Warsジョージ・ルーカス監督は、この「神話」の法則を徹底的に研究し、映画に取り入れられたと言われている。
Star Warsが多くの人の心に響いたのは、この力が大きい。
いつの時代も人の心を共振するのは、「神話」なのだ。
 
In Homer’s day, legends were passed on in the form of dactylic hexameters; modern myth-makers prefer computer graphics, special effects, 3D projection, surround sound and internet video distribution, among other things. 
現代の神話メーカーは、コンピュータグラフィックスや3Dプロジェクション様な最新技術を好む。
一時期はデジタルムービーでピクサーに差を広げられた経験からだろうか、
最近のディズニーは、最新テクノロジーの取り組みに寛容で、チャレンジングだと思う、
記事とはそれるが、ディズニーワールドではMagicBandと呼ばれるウェアラブル端末を導入した。
このバンド一つで、入場券、ホテルの鍵、電子マネーの役割を果たすことができる。

http://mw.nikkei.com/tb/#!/article/DGXMZO90652390Y5A810C1000000/

  • 神話はオモチャとして具現化する
But these days myths are also expected to take physical form as toys, merchandise and theme-park rides. This is the third myth-making ingredient. (Omit) But Disney has some of the most valuable properties and exploits them to their fullest potential. It is particularly good at refreshing and repackaging its franchises to encourage adults to revisit their childhood favourites and, in the process, to introduce them to their own children.
ディズニーの販売チャネルは多様だ。
特にディズニーランドをはじめとするテーマパークは強い。フランチャイズ各社が子供たちに、また来たいと思わせる魔法とも言える仕掛けをいくつも用意しているからだ。

このテーマパークビジネスは、他も参入しているが、今のところディズニーが圧倒だ。Star Warsも加わり、今後より勢いを増すだろう。

ディズニーが作り出す現代の神話は、我々をどこに導くのだろうか?
これまでのディズニーやピクサーを観て、憎しみに満ちたことはない。

これまでにないほど、心が穏やかになった記憶がある。

神話には、世代や社会、文化を超える力がある。Star Warsを通して、少しでも世界が良い方向に向けば良いと思う。それが世界的影響力を持つ映画を買収したディズニーの果たすべき役割だと思うから。

Modern myths also have the power to unify people across generations, social groups and cultures, creating frameworks of shared references even as other forms of media consumption become ever more fragmented.