「バクマン」はどのように映画化されたのか?プロデューサー川村氏が語るヒットする企画の原則
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原則1:普遍性x時代性
人の心を捕まえて逃さない名作は、この原則を貫いている。
人が感動するストーリーに、時代性を組み合わせることで、面白い作品が生まれるのだ。
これは、映画だけでなく、どの商品にも当てはまるなぁ。
原則2:発見と発明
これは、川村さんオリジナルの考え方。
前回のブログに書いたが、川村さんは日頃感じる違和感を脳の中に溜め込んでいる。
それは、常に新しい発見を求めていると言い換えてもいい。
その発見たちを組み合わせることで、魅力的なアイデアに昇華することできる。
そのことを「発明」と定義している。
バクマン制作のコンセプト
友情、ライバル、そして恋愛に加えて、「少年ジャンプの裏側」というこれまでなかった切り口。素材としては十分だ。実際に漫画は売れているし、アニメ化もされた。
しかし、実写化すると地味だ。なんたって、漫画を描いているのだから。
- 漫画アクション映画
プロジェクションマッピングにより、漫画を描くという退屈なシーンをこの映画の話題にシーンに変貌させた。漫画家の頭の中を再現することが狙いだったという。
- サカナクションx映画音楽
サカナクションはダンスミュージックxロックミュージックというこれまでにない音楽性を持ったバンドだ。
今回の映画に彼らの音楽を採用すると新しい映像世界が広がるのではないかと考え、協力を依頼した。
「音楽がハブの役割を果たし、いろんなアートに触れる“空間”を楽しんでもらえれば。未来に嫉妬するためにも、いまは音楽シーンに爪痕を残し、もっと多感なリスナーを増やしたい」この言葉は、主題歌「新宝島」に登場する“このまま君を連れて行く”というフレーズと力強くシンクロしている。「例えば映画を見て、サカナクションを知ってくれたお客さんが、イベントに遊びに来てくれて、そこで写真家と出会い、衝撃を受けてカメラを始めるとか。僕らにとって主題歌も映画音楽も大きな挑戦でしたが、そうやって、別のカルチャーに触れてもらって、自分の新しい世界が切り開かれるのは、とても健全だと思いますね」川村さんはサカナクションへの依頼するもととなったのは、実は映画ソーシャルネットワークだったという。
ソーシャルネットワークでトレント・レズナーが映画サントラを全面的にやっていて、それを観て新しい映画音楽を試みたくなったという。
- サブカルだけど豪華キャスト
キャストにはこれまでやっていなかった役をやって欲しいという。
だけど、その役の要素をもっていることが必須条件。
いいアイデアには理屈がある、
「億男」など小説家としての顔を持つ川村さん。
小説を書くことで、映画、小説のそれぞれの良さがわかり、新しい発見につながるという。
そんなクリエイティブな川村さんだが、何もアイデア一本で勝負しているわけではない。
クリエイティブな発想に加えて、職人とも言える「作品作りへのこだわり」がある。
実は、これまで完璧な作品は1本もないという。
仕事のレイアーが多い方がいい、なんか足せるんではないか?と常に考えているそうだ。
だから時間があれば直せる限り直したい、その想いが強い。
何か作っている時は快楽な気分だ。俗に言う気分が乗っているというもの。夜遅くまで、作業しているときは正にそう。やりきった感がある。
だけど、次の日の朝、内輪の高揚感から覚める。
僕も含めて、多くの人がネガティヴに捉えるだろう。「なんでこんなの作ったんだろう」と。
しかし、川村さんはこの目覚めを非常にポジティブに捉えているという。
だってまだ直せる可能性を見つけたのだから。お客さんに見せる前に直せる限り直したい、けど時間は限られているので諦めて出さざるを得ない。これが川村さんのこだわりだ。
良いものを作り続けるために意識していること、それが再現性だという。
デビュー作に「電車男」は感覚でやっていたらしいが、それでは続かない。
良いアイデアには必ず理屈がある、なのでまずは目の前のスタッフ一人を理屈で説明できるようにする。このプロセスを踏まないと、画面の向こうの200万人に良さなんて伝わらない。
スタッフと何回も作品をブラッシュアップして、クオリティを上げているのだ。
最後に、印象的な言葉だったがある。
「映画は今が一番面白い」
川村さんのインスピレーションのもとになる映画は?という質問に対して、
とにかく新しいものを見るべきと回答していた。
映画の歴史はまだ120年しかない。僕の中ではバードマンが今一番面白い。
常に新しいものを取り入れようとしている川村さんの一面を強く感じた。
来年、自身が書いた小説「世界から猫が消えたなら」を自らの手で映画化する。
元々は映画では表現出来ない世界観ということで書いた小説。
これは川村さんにとって未知の領域だが、彼がどのような「発明」で映画化されるのか?
とても楽しみだ。
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