SHIKOの道

〜海外の最新洋書と好きな音楽を中心に〜 まずは試行と思考を高い志向で

「Design to Grow」デザインと成長戦略との関連について書かれた最新洋書

ダニエル・ピンク氏も絶賛 

スタートアップ企業とデザインの関連性について書かれた素晴らしい1冊が発売された。

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あのダニエル・ピンク氏もコメントを寄せている
“What explains Coca-Cola’s worldwide market dominance? David Butler and Linda Tischler argue that it’s a result of attention to design details at every level of the organization, in every product line, in every country, by every employee. Whatever the size of your enterprise, you’ll find in this book a master class in problem-solving, in cross-cultural marketing, and in decision-making.” (Daniel H. Pink, author of To Sell Is Human and Drive)
どんな企業であれ、問題解決、クロスカルチャーマーケティング、ディシジョンメイキングの方法をこの本から学べる

著者は、Coca-Colaのデザインを担当していたDavid Butler氏


Season 2. Episode 3: David Butler, VP of Innovation ...

本書ではCoca-Colaがデザインをどのように活用し、世界各国の市場で成長してきたか?について書かれている。

日本コカ・コーラでは、『いろはす』の事例が取り上げれている。

AgilityとScaleが重要な時代

Agilityとは、敏捷性とよく訳される。

つまり、市場の声や現場の声をいかに素早くプロダクトに反映していくかです。より早く失敗して、その学びから素早く成長することが求められます。

Scaleとは質や利益を落とさずに、量や規模を拡大すること。大企業では市場が大きすぎるがゆえに、素早い経営判断ができず、市場に投入するのが遅れてしまうという問題が良く発生する。

そう、AgilityとScaleを両立することはとても難しいのだ

コカ・コーラでは、その課題をデザインによって解決してきたというのだ。

デザインがAgilityとScaleをどのように担保してきたのか?これを理解するためには、デザインについてもう少し考えなければならない。

良いデザインとは何か?美術館にあるようなアートをささない。デザインは芸術ではなく、機能をより良くするためのものを指す

悪いデザインを想像するとわかりやすい。悪いデザインとは複雑だったり、使いにくかったり、理解されにくかったりして、問題を引き起こす。面倒で誰も使いたくないし、使い慣れるのに時間がかかる。

良いデザインはその真逆。わかりやすく、使いやすいデザインは利用者の負担も少なく、市場にも素早く投入できる。複雑性を持たないため、改修の負荷もそれほどかからない。

ではどうすれば、良いデザインを生み出せるのか?AmazonGoogleのUIのように単にシンプルにすれば良いというわけではない。

"何のためのデザインか?""どうやって使うのか?""それはどういう製品なのか?"

このような思考でデザインを考えることで、製品の価値そのものが洗練される。

例えば、「いろはす」の価値は水そのものではない。エコへ貢献が、いろはすが持つ製品価値だ。

エコへの意識が高まる中、「潰してすぐにリサイクルできる」というこれまでになかった新しいデザインがウケたのだ。


Agilityについてもう一歩踏み込んでいうと、「モジュール化」というキーワードに辿りつく。

つまり交換可能な機能構成にしておくということ。何か問題が発生したとき、全てを変更するのではなく、問題箇所のみを交換できる機能構成にしておくのだ。

Scaleについては、それらの各機能構成の要素をどのように統合するかが重要となる。なぜなら、各機能間の軋轢や運用コストをどのように抑えるかについて考える必要があるからだ。

大企業であれ、スタートアップ企業であれ、このような細部と全体をどのようにデザインするのかが、今後の成長にとても重要なことである。

Design to Grow: How Coca-Cola Learned to Combine Scale and Agility (and How You Can Too)

Design to Grow: How Coca-Cola Learned to Combine Scale and Agility (and How You Can Too)