SHIKOの道

〜海外の最新洋書と好きな音楽を中心に〜 まずは試行と思考を高い志向で

脳が認める勉強法―「学習の科学」が明かす驚きの真実! ベネディクト・キャリー

第1章: 学習マシンとしての脳─記憶という生命現象を解き明かす
第2章: なぜ脳は忘れるのか─記憶のシステムを機能させる忘却の力
第3章: 環境に変化をつける─いつもの場所、静かな環境で勉強するのは非効率
第4章: 勉強時間を分散する─一度に勉強するより分けたほうが効果的
第5章: 無知を味方にする─最善のテスト対策は、自分で自分をテストすること
第6章: ひらめきを生む─アイデアの「孵化」が問題解決のカギ
第7章: 創造性を飛躍させる─無から有をつくりあげる「抽出」のプロセス
第8章: 反復学習の落とし穴─別のことを差し挟む「インターリーブ」の威力
第9章: 考えないで学ぶ─五感の判別能力を学習に活用する
第10章: 眠りながら学ぶ─記憶を整理・定着させる睡眠の力を利用する
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2015年最後の1冊は、NYタイムズベストセラー"How We Learn"の翻訳「脳が認める勉強法」
今年の3月に友人に洋書をオススメされていたのだが、よくあるサイエンスものだろうと思って読まずにいた。そうこうしているうちに、翻訳版が出たので購読したが、もっとはやく読んでおけばと後悔した。自分自身のボトルネックを解消する手がかりが見つかったからだ。
 
The EconomistとかFast Compnayを読んでいるけれど、根本的に勉強は苦手であり嫌いだ。英語を勉強するということで、TOEICの勉強を机に向かって取り組んでいる人をみると尊敬する。僕にはできない。ましてや、2時間の間テストを受けるなんて到底不可能だ。
 
その一方で、勉強の必要性はわかっているつもり。学ばないとこれから先の時代、生き残っていけない。受験前に学校の先生や塾の先生が、「勉強するのは今だけやから」とかいうが、そんなのモチベーションを上げるための優しい嘘。成功している人は、やっぱり努力しているのだ。
 
その一方で、努力→成功の美談が話をややこしくする。つまり、成功した人は机にかじりついて、這いつくばって勉強しているんだとみんな思ってしまう。だから結果がでないと、単に努力をしていないというレッテルを貼られてしまうのだ。もしくは、自分には才能はないと自己嫌悪に陥ってしまう。
 
僕自身も勉強ができない側の人生を歩んでいるので、よく自己嫌悪に陥る。同じ勉強時間なのに、どうしてみんなあんなにできるんだろう?どうして自分はできないんだろう?って。
 

最先端科学が解明した勉強方法

本書は大きく、4つのパートに分かれている。
《Part1》脳はいかに学ぶか
《Part2》記憶力を高める
《Part3》解決力を高める
《Part4》無意識を活用する
 
Part1は、脳に関する仕組みが説明されている。読みモノとして面白いので読んで欲しいが、タイトルに惹かれている人は、ある程度読み飛ばしてもいいかもしれない。
 
Part2で書かれているのは、記憶力を高める方法。記憶力の鍵は、その記憶を引き出すトリガー重要である。なので、いつも同じ時間・空間ではなく、違った場所で勉強し、時には音楽を聴きながら、その場その時の記憶を引き出すシチュエーションを作ることが大事であると書かれている。
 
Part3は解決力。ひらめきや創造力の話だ。反復練習を繰り返すと応用力が下がり、結果的に向上のスピードが遅くなったりする。また、知性はオフラインでも活動を続けるので、休憩中も脳は問題を解こうと働き続けているとも書かれている。確かに、休憩終わりのほっとした瞬間に答えがひらめくことがあるので、納得できる話だ。
 
Part4無意識について。何も考えていなくも視覚は莫大な情報をインプットしている。視覚だけではない、五感から脳は情報をインプットしている。だからこそ、体を動かしたりすることは重要なのだ。
 

自分に欠けていたもの

自分にとって最も印象的だったのは、第5章 無知を味方にする
この章ではテストの重要性について書かれている。ただ前にも書いた通り、僕自身はテストが嫌いだ。嫌いな理由は、自分が期待しているスコアを下回っしまうから。だから、楽しくない。そんな楽しくないことに時間を割きたくない。そんな負のスパイラルだ。たかがテストごときなんだし、ちょっと極端に考えすぎているかもしれないが、ダメレッテルを貼られるのが怖いのだ。そんな僕にヒントになったのが、これ。
テストに恐怖心や苦手意識を抱いている人は多いので、テストの実施に対する認識を改めることはそう簡単ではない。とはいえ、テストの実施にはさまざまな形があり、試験はその一つに過ぎないという考え方ならできるのではないか。(省略)自分はすでに専門家であるというフリをして、要点や意見述べる。これが、自分で自分をテストすることの本質だ。知識や技術が身についていると自分に言い聞かせた上で、実際にどこまで身についているのかを確認するのだ。

自分の場合、読書が終わった後、著者になりきって伝えたいメッセージをアウトプットするようにしている。なんだ、これもテストだったのかと思うと、心が楽になった。確かにブログにアウトプットする時、理解している箇所はスラスラと文章が出てくるが、そうでない箇所は再読し、理解を深めようとしている。そうやって、わからないことを学習するためにはアウトプットが最もいい方法。所詮、試験もそのアウトプットの1つ。点数惑わされていて、学ぶ本質見失っていたと感じた。

 
著者自身、本書に書かれている学習の方法は完璧ではないと言っている。まだまだ、学習について改善余地はあると考えているからだ。もし、学ぶことについて何かしらの悩みを持っているならば、本書を読むことをオススメしたい。この本は単なるサイエンスの本ではない。学ぶことの本質を教えてくれる1冊だ。
脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!

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