インダストリー4.0 ドイツが先行するスマートな工場!日本で実現するために必要なこと
インダストリー4.0(ドイツ語ではIndustrie 4.0) は、ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す戦略的プロジェクトであり、情報技術を駆使した製造業の革新の事を差す。 工業、特に製造業を高度にデジタル化する事により、製造業の様相を根本的に変え、マスカスタマイゼーションを可能とし、製造コストを大幅に削減することを主眼に置いた取り組みである。 全ての機器がインターネットによってつながり、またビッグデータを駆使しながら、機械同士が連携して動く事はもとより、機械と人とが連携して動くことにより、製造現場が最適化されると想定している。
まだ日本にもチャンスはある?
そう、この領域はまだ勝者がいないのだ。GEを中心としたアメリカも力を入れているし、GoogleやAppleなども注目している。しかし、絶対勝者はいない。
では、日本ではどのように戦うべきか?1冊の本から考察する。
- 作者: 長島聡
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2015/10/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者はローランド・ベルガーの長島聡氏。ローランド・ベルガーはドイツに本社を持つコンサルティングファームである。冒頭では、ドイツのインダストリー4.0の事例が紹介されている。
例えば、BMWは将来を見通すデジタル工場を作り上げた。どういうことかというと工場の建設前に徹底したシミュレーションにより、新しい工場の建設期間の短縮化に成功した。これにより、生産拠点の拡大がスムーズになったのだ。
これまでは工場全体の8割をシミュレーションするのが限界だったため、どうしても設計の手戻りが必要であった。しかし、最近のシミュレーションは次元が違う。設計時には気づきにくい人が通る幅などもバーチャルリアリティで再現してしまうのだ。そう、より現実的なシミュレーションにより高度な生産拠点を建設し、それにより大幅なコスト削減を達成しているのだ。
長島氏曰く、インダストリー4.0とこれまでの製造業の違いは下記である。
- 取り組みやスケールが違う。これまでは、製造過程の一部が自動化されてきたが、デジタル化される対象は工場全体、社内の多部門を跨ぐ。そこから導かれる将来予測は、精度も上がる。
- 取り組みの頻度が違う。これまでは週次などある一定のサイクルで実現してきたことが、デジタル化により、日次やリアルタイムに縮まる。不効率だった部分が効率化されることが期待される。
これらの違いの要因は3つのキーワードに集約される。
「 (デジタルで)つながる」「(ハイテクに)代替する」「(よりカスタムメイドに)創造する」
この3つのキーワードに、日本企業の強み(現場力・顧客視点の付加価値創造)を掛け合わせた時に、日本型のインダストリー4.0が誕生すると主張している。つまり、現場が顧客のニーズを汲みとる文化は、インダストリー4.0によるデジタル化によって、最大化されるということだ。
その実現のためには、「グローバルレベルでのビジネス基盤の整備」「事業投資の財源確保」「業界内での情報共有できるバーチャルプラットホーム」が必要と長島氏は言う。
そう、レベルは違えど日本が直面している課題は、先行しているドイツとほとんど変わらないのだ。では、何が差をうむのか?本書の最終章がその答えかもしれない。
結局はトップの覚悟変化を受け入れる勇気を持ち、8つのことを覚悟を持って実行する必要がある。
- 全員を経営に巻き込む
- 見える化を突き詰める
- トップの熱を伝える
- 現場の発想を超越する
- 能動的に外部を巻き込む
- リスクを一身に背負う
- 強い意志で人を選ぶ
- 褒め合うためのITを設計する。
< インダストリー4.0に関する本>
- 作者: 尾木蔵人
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まるわかりインダストリー4.0 第4次産業革命 (日経BPムック 日経ビジネス)
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インダストリー4.0を超える シミュレーション統合生産の 衝撃
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