再生 日本の伝統にスイッチを入れる-矢島理桂 x 丸若裕俊
日本の伝統産業を活かす
すでに一ヶ月以上も前になってしまったが、六本木アカデミーヒルズで開催されたアートカレッジについて書く。今回のテーマは、「伝統工芸」でスピーカーはお二人。
一人目は、株式会社「和える」の矢島理桂さん。
二人目は、株式会社「丸若屋」の丸若裕俊さん。
日本の伝統工芸に関わっているお二人の対談だ。
職人さんとともに作る
「先人の知恵」「今生きる我々」の2つを和えることで、次世代の子供たちに伝統をつなげるそんな想いで「和える」を立ち上げた矢島さん。
就職活動したが、そうような企業が見つからなかったのが、起業のきっかけだったという。
そのときは、送付いただいた写真を元に見積を行い、2000円から3000円で破損部分を修理してくれる。これにより、使い続けていくことの良さを体感してもらうのだ。
実際、(自戒を含めていうと、)我々はモノを簡単に捨てすぎているにかもしれない。
就職活動したが、そうような企業が見つからなかったのが、起業のきっかけだったという。
(*自分よりも1つ年下の女性ですが、落ちいた雰囲気ある素敵な方でした)
実際に現地の職人さんに会い、職人さんの技術で作った作品を販売している。
徳島県の本藍染 愛知県の和紙子供たちや赤ちゃんをターゲットにした製品が多く、次世代の彼らに伝統を使ってもらうことが狙いだ。
また、お直しというサービスも行っている。
例えば、お茶碗が割れてしまったとする。そのときは、送付いただいた写真を元に見積を行い、2000円から3000円で破損部分を修理してくれる。これにより、使い続けていくことの良さを体感してもらうのだ。
実際、(自戒を含めていうと、)我々はモノを簡単に捨てすぎているにかもしれない。
だって、モノは溢れているのだから。売る側としても、作ったら売れるのだから。
しかし、この習慣性が良い文化なのか?経済性に縛られてしまった結果なのかもしれない。
丸若さんからも、焼き物の職人の方が「ものつくりって言っても俺たちは山を削ってゴミを作っている」と言っていたという経験をお話しされていた。
ものつくりは、そんな職人さんたちが魂を込めたモノ。使い切るのは当然だし、お金という指標だけで計れるものではない。
矢島さん、丸若さんのトークから文化と経済のバランスというテーマがでてきた。
本質は知られていないこと
前から言われているが、伝統工芸の産業には多くの課題が存在する。
矢島さん、丸若さんの考えは、そもそも伝統工芸が知られていないことが問題だと指摘する。お二人は、伝統工芸を知ってもらうために活動されているが、どのように知ってもらうのか?については一番気をつけているところだという。
2015/11/07にオープンした和えるの京都支店では、おじいちゃんおばあちゃんのお家をコンセプトに、空気感、温度感が感じられる空間作りをしたという。
文化を消費する先にあるもの
お二人の素晴らしい活躍で日本の伝統産業も復活だと思ってしまうが、二人の力では追いつかないスピードでこの産業は衰退しているという。もっと巻き込んでいかないといけないと危機感がお二人にはある。
そして、危機感に感じていることが別にあるという。それは、文化を消費していないか?ということ。クールジャパンの名の下に、日本文化を見直して海外に発信することは間違っていない。
しかし、今の取り組みは経済性に重点を置き、根本にある文化的視点が抜けているのではないか?商業化に傾き過ぎていないか?ということである。
文化は育むものなのに、一方的に消費したときに、一体何が残るのでしょうか?
この話をしたときに、フランスの例があがった。
日本では〇〇賞受賞とか、XXさんが良いと言っているとかが重要視されるけど、フランスではそれ以上に、そのもの背景やコンテキストを重視し、本当に良いモノかどうかを見極めて購入する人が多い。「再生 日本の伝統にスイッチを入れる」このトークのテーマだった。
スイッチを入れるのは、我々一人一人のモノに対する考え方を改めることかもしれない。
<その他アートカレッジのレポート記事>
<矢島さんの書籍>
和える-aeru- (伝統産業を子どもにつなぐ25歳女性起業家)
- 作者: 矢島里佳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/07/17
- メディア: 単行本
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