子育てのパラドックスー「親になること」は人生をどう変えるのか:ジェニファー・シリア
子育ての不安を最新科学で考察し、喜びと幸せを追求する
相馬准教授によると、昭和50年では、女性が最初の子どもを産む平均年齢は25.7歳。当時は子育てが一段落するころに、親の介護が必要な時期にさしかかるサイクルになっていたのだ。ところが、平成に入ると急速に晩婚化が進行。平成24年には第一子の出産年齢が平均30.3歳と、約5歳も高齢に。
周りで結婚する人が増えてきた。特に同年代の女性は多い。結婚適齢期が世間的には30になるまでが一つの区切りと言われているからもしれない。
ブログを書いている当人はいたってマイペース。自分が結婚する?なんて今のところはそんなの考えもられない。
自由がなくなる?親になる責任とプレッシャー?なんか、ネガティヴなことばかりイメージしてしまう。恐らく、結婚や出産が年々遅くなっているのは、結婚や子供ができる喜びよりも、不安が先行してしまっているからだ。
この不安を最新の科学の視点で考察した本と出会った。
子育てのパラドックスー「親になること」は人生をどう変えるのか:ジェニファー・シリア
出会いは、この本の帯の問いが気になったからだ。
- 「母」と「父」の意識はなぜすれ違うのか?
- 子供を持つと、幸福は低くなる?
- 育児は親にどんな影響を与えるのか?
特に、2番目と3番目に問いが個人的には気になった。なぜなら、子供を持つということは、経済的、そして精神的にもマイナスの面が多いのではないかと思っていたからだ。
一人の子を育てるということは、簡単なことではない。夢と子育ての両立が簡単に出来れば苦労はしない。少し前までは、その負担が女性に寄っていた。その点については、問題認識がされ、徐々にではあるが改善しようという動きがある。一方で、社会が成熟して価値観がより複雑になった現在では、一人にかかるプレッシャーや求められることが多くなっている。とすると子供を諦める、もしくは二人目を諦めるという選択を取るのは自然なことかもしれない。
しかし、もっとシンプルに子供がいるからこそ出来ることに目を向けるべきかもしれない。
小難しい話からすると、子供は自然と哲学をする。偏見もなく、ありのままをみた世界から、大人では想像がつかない質問を繰り返す。脳科学からみると、乳幼児の脳は非常に柔軟なので、知識の在庫が数ヶ月ごとに大きく変わる。1年ごとに価値観が激変することもありえるのだ。
哲学とは、このうえなく厄介な子供の質問に大人が答えようとする試みでもある。そんな無邪気な子供対して、母親は愛を注ぐ。それは愛を求めているのではなく、愛を与えたいのだ。
わたしたちは、愛する子どもだから世話をするのではなくて、自分が世話をしている子どもを愛するのです。そんな親は子どもに翻弄され、時には悩み込んでしまう。親にとってのゴールは自分の子どもが社会でうまく適合して、幸せになってもらうことだろう。
では、親にとって「子育て」の経験から得られるものは何だろうか?この問いに対して、僕は大きな偏見を持っていることに気づいた。
子育てと聞いたら、子どもの送り迎えをしたり、食事を作ったり、勉強をさせたりということのみをイメージしていた。
しかし、それは子どもとの関わり方のほんの一部でしかない。
特に何もするわけでもなく、子どものありのままの姿を楽しむこと一緒に出来の悪い映画を観て楽しむだけではない、時には遠くから子どもが水遊びをするのをみているのでもいいだろう。このように、一歩引いて受動的に子どもをみることが幸福感に繋がるという。
これはそもそも「幸福」とは何かを定義し直す行為であり、子育てを通しながら、自分の幸福に対する価値と向きあうべきなのだ。
もしかしたら、子育ては大変だという偏見によって、自分にとって何が幸せなのかを見失っているのかもしれない。
子育てのパラドックスーー「親になること」は人生をどう変えるのか
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