SHIKOの道

〜海外の最新洋書と好きな音楽を中心に〜 まずは試行と思考を高い志向で

美術手帖 2016年6月号②

複層的な世界を生き抜く
不確定の時代においては、予想に縛られるのではなく、自分の信じることをやるしかない。(省略) すべての現実の裏には別の現実があり、それは不可視であると同時に他者、異物、恐怖と捉えている。

ヒト・シュタイエルが本書で述べている言葉。「アートで世界を変える」これは美しい言葉だ。だけど、世界に影響を与える芸術には金がいる。制作費だけでない、出展する場所代、その他諸々の経費もかかってくる。そんなアーティストが搾取されているとも捉えられかねない、そんな現状にシュタイエルはこう言ったのだ。

今目の前の現実(思い込み)は不確定だ。見えていないその裏側に漠然と不安を感じて、どうすればいいかわからなくなる。そうではなく、アーティストとしては、一種の開き直りで、自分の道を進むしかないのだ。

難民、格差、差別、弾圧、紛争などをアートを通して解決する試みがあるが、大事な事は自分の信念を貫くことが出来るかだ。複雑化する時代だからこそ、よりそのことが求められている。

美術手帖 2016年6月号

美術手帖 2016年6月号