「五百羅漢図展」 村上隆氏が伝えたいことの輪郭が徐々に見えてきた
森美術館で公開されている村上隆の五百羅漢図展
宗教と芸術、人間の死や限界がテーマとなっているこの個展。森美術館の年間会員でもあるので、すでに数回訪れている。
初めて行ったときは、正直なところ難しくてよくわからなかった。今書いているブログの最初の下書きが去年の11月。そんときは、何を書いていいのか、本当にわかってなかった。
最近、WabiSabiなど日本人の本来持っているはずの感性に興味があり、そのあたりの書籍を読みはじめている少しづつであるが、ようやく伝えたいことの輪郭のようなものが見えてきた気がする。
死んだ後の魂はどこに行くのか?とか、この世に残る感情、絶望感とは違う、ある種の呆気なさというかそういうのを描きたかったのではないかと、個人的には解釈している。
そんな個展が開催中の村上隆さんのインタビューが、今月のDiscover Japanで載っていた。
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テーマ:ムラカミアート x 日本酒 x 伝統工芸
日本酒のプロモートプロジェクトに着手しているという村上さん。
この前の号では、民藝という切り口で日本のものづくりを特集していたが、村上さんも似た考えをお持ちのようだ。
功名心がちょっとでも出てくるとダメになる。作っている人間の集中力が散漫になるんでしょうね。(略) コンセプトはビシッと通さないといけない、最後まで美しいのは、職人の「やりきったぞ」という仕事であるんだけど、そこを伝える難しさはあるようだ。
だけど村上ブランドを出すと、作品に不純物が入るようなもので、うまくいかないのだ。その矛盾を超えるために必要なことは「常に否定をする」ことだ。
文化の交流から新しいものが生まれていく。日本酒だって起源をたどれば中国から来た文化で。その文脈を拾いながら、ルーティンな仕事にならないように組んでいきたいですね。最初はフレッシュな関係でも、長くなるとルーティンになってくる。感度のよいお客さんにはすぐにバレます。そうなる前にリフレッシュしないと。
これまでの文脈をきちんと捉えること、そして常にその文脈に本質を突き詰めることが大事しているようです。そうなると五百羅漢図展は、日本のルーツ見直し、時代を捉え直した村上隆氏の結果ということか。
そういった視点で、もう一度「五百羅漢図展」を観るとまた新しい価値見えてきそうだ。
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