SHIKOの道

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博報堂デザインのブランディング: 思考のデザインとカタチのデザイン 永井一史

正しいだけでは、人の気持ちは動かない
博報堂電通、大手広告代理店をのイメージは、クリエイティブな仕事をしててカッコいいなぁって感じ。実際に、モテるだろうしね。僕たちが自然と目していたTVCMや駅の巨大広告は、そんな彼らのクリエイティブな仕事から作り出されている。そのことを知れる一冊がこれだ。
もちろん彼らは直感的に発想しているわけではない。我々の心情やそれを感じる状況など全て徹底的に練られているのだ。
本書では、ブランディングの仕事を行う2つのフェーズについて、説明されている。

  1. 思考のデザイン=インプットとプランニング
  2. カタチのデザイン=アウトプット
インプットは、単なる情報収集ではない。あらゆる情報収集を行うのだ。
  • 歴史性:ブランドのオリジンにさかのぼる
  • 機能性:何の仕事、どんな商品なのかを考える
  • 文化性:どんな豊かさやライフスタイルを提案できるかを考える
  • 社会性:ブランドどう社会に役立つのかを考える
  • 関係性:ブランドと生活者との関係性を考える
これらの切り口の情報もググるのではない。関係者からの言葉には、耳だけでなく心も傾ける。それで不十分なら実際の現場にまで行く。
このように集められた情報をどのように紡いでいくのか?新しい価値を生み出すべきなのか?それを考えるのが、プランニングのステージだ。仮説が生まれたら、その仮説を具体的に想像することが必要だ。どんなカタチなのだろう?手触りは?どんな気持ちになるだろうか?と。

そして、カタチをデザインする。ここで重要なのは、「飛躍」だ。自分の頭の中でカタチ創っていたものは、間違っていないだろう。しかし、それだけでは人の気持ちは動かない。何かしらの飛躍やギャップが必要なのだ。ブランドのキーの要素とビジュアルを繋げて、ストーリーを作っていく作業だ。

本書では、サントリー伊右衛門資生堂日本郵政グループ、六本木ヒルズまでの事例が紹介されている。伊右衛門をヒットさせたサントリーの役員の方は、インタビューでこう発言されている。
メーカーの人間がもっとブランドを語らなければならない。
良いものを作るのは大切だ。しかし、良いものを作るだけでは、モノが売れない時代でもある。この一冊を通して、博報堂ブランディングノウハウを吸収しておきたいところだ。