本を読むときに何が起きているのか-ことばとビジュアルの間、目と頭の間
今、読書本が売れている!
年に何十冊本を読む読書家は、本書の要点をすぐに捉え、その本質を自身のアクションに結びつける。
彼らは、本を読むことで自分自身を磨いていのだ。
ただ、万人が"読書"を人生の糧としているか?と問わればそうではない。ページをめくったのだけど、読んだ内容を忘れてしまったり、読んだときには心に響いた"あの感想"を思い出せなかったりする場合がほとんどだ。
だけど、やっぱり本を読むのに使った時間くらいのことは得たい、もっと効果的に本を読みたいという願望はみんな持っているものだ。
なので、最近は読書"術"関連の本が売れている。
- 作者: 樺沢紫苑
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2015/04/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 齋藤孝
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2014/07/31
- メディア: 単行本
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読書における想像力の謎に迫る1冊
今日紹介する本は、読書に関連する本だ。これは巷で売れている本とは少し違う。
今売れている本が読書"術"という学び方や方法論だとしたら、
この本は読書の"道"とでもいうべきだろうか、読書する意義を深く感じて会得することができる1冊だ。
題:本を読むときに何が起きているのか-ことばとビジュアルの間、目と頭の間/ピーター・メンデルサンド
洋題:What We See When We Read
彼のデザインはWSJ紙で、「現代小説の分野において、一目で誰によるデザインかが分かる、もっとも特徴的で象徴的なデザインである」と称賛されたほどだ。
そんなデザイナーの彼が読書で注目していること、それは想像すること。彼は本書の中で、こう語っている。
「読書」と呼ばれる物語がある。私たちは皆、その物語のことを知っている。それは「心象」と「描写すること」の物語である。
読んだ本の内容を思い出すとき、私たちは、連続展開するイメージ群を脳裏にみている。
例えば、ビジネス書で組織論関連の本を読んでいるとする。
マネージメントやコミュニケーションそういった内容を読んでる一方で、脳の中では自然と"今の職場"の映像を映し出していないだろうか。文字を拾っているだけなのに。
小説でも同様だ。ヒロインを知らず知らず、自分の気になる女性に重ねていたりする。
文字を1言一句全て正確に捉えているわけではない。そうではなく、我々は読書体験を通して、「想像」しているのだ。この想像的体験を通して我々は学び、そして成長していくのである。
過去、現在、未来は、それぞれを意識する瞬間ごとに、しいては、読書という行為の流れの中で織混ざる。それぞれの流動的な間隔は、読んだものの記憶(過去)、意識上の「現在」の経験(現在)、そしてこれから読むものの予想(未来)の混在からなる。
本を読むときは、全てが新しいことではない。過去に読んだ記憶や経験は、"今"読んでいる意識の瞬間に確実に残っている。そして"今"読んでいる意識は、先に起こるだろう何かを想像している。
読書の空間には、過去-現在-未来の自分が混在しているのである。
今という近視的な視野を持ちながら、過去の自分から未来を見通すこと、それが読書なのだ。
道に進む前に術を身につけることも必要
本書を通して、読書とは何か?を深く理解できる。その読書への深い理解により、我々がこれから読む本は、これまで以上に深く味わうことができるなるだろう。
ただ、やはりこれは"道"の領域だ。読書を極めたい人にとって本書は必須だ。だけど本を読む習慣がない人にとってこの本は少し重すぎる。武道や花道でもそうだが、何かの道極めるには、まず型が必要だ。
なので普段本を読まない人にはまず、本を読む型を学んで欲しい。樺沢さんの「読んだら忘れない読書術」や齋藤孝さんの「大人のための読書の全技術」はおすすめ。これらの読書術本は、本を読むための型を学ぶことができる。
そして読書が楽しくなったとき、もっと学びたいという知的欲求がうまれたときは是非本書を読むことをお勧めする。この本を読むことで、あなたの読書の価値観が広がり、これまでの読書体験を統合することができるのだから。
What We See When We Read (Vintage Original)
- 作者: Peter Mendelsund
- 出版社/メーカー: Vintage
- 発売日: 2014/08/05
- メディア: ペーパーバック
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本を読むときに何が起きているのか ことばとビジュアルの間、目と頭の間
- 作者: ピーター・メンデルサンド,山本貴光,細谷由依子
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2015/06/27
- メディア: 単行本
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