SHIKOの道

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Design to Grow の翻訳 「100年企業の問題解決術」から考える良い翻訳とは何か?

「デザインについて何かいい本はない?」って聞かれたら、この本を推薦していた。

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コカコーラのデザインを担当していたDavid Butlerが、「なぜ良いデザインが必要なのか?」という問いに、わかりやすく答えてくれているからだ。

2015年2月にアメリカで発売されたので、翻訳は来年かな?って思っていたら、すでに翻訳されていた。

コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術 (ハヤカワ・ノンフィクション)

コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術 (ハヤカワ・ノンフィクション)

見落としていた3つの理由

最新本はこまめにチェックしていたつもりが、見落としていた。見落としていた理由は3つ考えられる。

1:こんなに早く翻訳が出るなんて思っていなかった

翻訳されるスピードは、年々短くなっている。売れると確信された本は約半年くらい。

けど、これは「Work Shift」のリンダ・グラットンや「Will Power」のマクゴニカルなど一度ヒット作ある場合に限られていると思っていた。

「Design To Grow」は良い本だが、日本でそこまで知名度のないバトラーの本がこのスピードで翻訳されるとは思っていなかった。

 

2:表紙が赤でなく、白

洋書では、コカコーラをイメージされる赤の表紙だったのが、翻訳版では白を貴重としている。

Design to Grow: How Coca-Cola Learned to Combine Scale and Agility (and How You Can Too) (English Edition)

Design to Grow: How Coca-Cola Learned to Combine Scale and Agility (and How You Can Too) (English Edition)

 「コカ・コーラ流」と上の方に小さくついているが、あえて「100年企業」と言い直している。

これはこの本から、コカ・コーラのイメージを意図的に消そうとしているように思える。

今日本で、コカ・コーラを全面に押してもインパクトが少ないという編集の判断でしょう。

 

3:タイトルにデザインという言葉がない

これは意外だった。

洋書を読んだとき、「良いデザインによって企業はScaleとAgilityを確保できる」ということが強い印象として残っている。デザインというキーワードは僕の中で外せなかった。

しかし、これも編集であえて使っていないと思う。

本書では、デザインとアートは根本的に異なると述べられている。しかし、日本でデザインという言葉は、色や形そのものにフォーカスして、どちらかというとアートに近い言葉で使われている。

本書でいうデザインを日本語で置き換えると何か?考察を重ねた結果、問題解決術というのがしっくりきたのではないか?と思う。

 

翻訳本はできる限り避けて、原書で読むようにしている

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著者の意図が歪曲される可能性があるため、できるだけ原書に挑戦している。

けど翻訳本も読んでみると新しい発見がたくさんある。

いくら良い本でも売れなきゃ意味はない。海外でヒットしていると理由だけで、売れるほど今の出版市場は甘くないだろう。

いかに日本の読者に手に取ってもらうのか?著者の考えどのように日本に浸透させるのか?

この問いに答えた翻訳本は、原書をも超えるクオリティがある。

「100年企業の問題解決術」は、綺麗な翻訳でとても読みやすかった。

 原書を読んでいない人は是非読んで欲しい。こんないい本が素晴らしい編集で日本の市場に出ているのだから。

コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術 (ハヤカワ・ノンフィクション)

コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術 (ハヤカワ・ノンフィクション)