SHIKOの道

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行動探求―個人・チーム・組織の変容をもたらすリーダーシップ 著者 ビルトルバード

変容をもたらすために必要なこと

今日紹介する著者ビルトルバード氏は、リーダーシップの権威と言ってもいいだろう。
なぜなら、彼の論文「リーダーシップの7つの変容」は、ハーバード・ビジネス・レビューの最優秀論文に選ばれたことがあるからだ。
本書「行動探求」は、リーダーシップの習慣として、行動と探求を同時に行う手法について記載されている。

行動探求――個人・チーム・組織の変容をもたらすリーダーシップ

行動探求――個人・チーム・組織の変容をもたらすリーダーシップ


「行動」と「探求」の両立、こんなことが可能なのか?
「頭で考えるよりも先に動くリーダー」もしくはその逆で、「まずは戦略を整えた上で実践するリーダー」これは、人としての個性の問題だと思っていた。
僕自身はどちらかというと後者のタイプなので、考えすぎずに動きゃなきゃと意識している。
ただ、どうも動きがぎこちない。頭で考えるタイプなので、頭で動いている。スピードが命であり、どんどん進めていかないといかないと。そのことを意識し過ぎるがあまり、逆に自分を心の奥にある不安で縛ってしまう。「このまま進めてもいいのだろうか…」

実は、このような意識と振り返り非常に大切だ。何がブレーキとなっているのかを突き止めなきゃいけない。そして、なぜそれがブレーキとなっているのか?という視点で自分の思考の枠組みを見直す必要がある。

それためには、カテゴライズされた4つの領域毎に考察すると良い。

  • 第一領域:外部の出来事→結果や評価が該当する。どうしてそのようになったのか?という効果的な問いかけと傾聴が必要となる。
  • 第二領域:自分が認識する行動パフォーマンス→行動パターンや行為が該当する。様々解釈余地がある中で、その行動の意図を説明することが大事。
  • 第三領域:行動論理→戦略や行動計画が該当する。そして、これらには必ずその計画の基となる主張が存在する。
  • 第四領域:意図に関する論理→ビジョンや目的が該当する。しかし、それらはある枠組みの中で生まれたものに過ぎない。
これらの領域が矛盾せずに、自分の中で落とし込めている場合、行動と探求を両方を行える状態となっているのだ。
それを自省し、周りからフィードバックを貰いながら、学ぶことで自身を変容させていく。
本書は、7つの型のリーダーシップを定義している。
その中の1つ、アルケミスト型のリーダー、すなわち意図を察知し直観的・タイムリーに他者の変容を促しながら行動できる人を目指している。

とはいっても、中々そこにたどり着くことが難しい。
なおかつ、周りに影響を与えながら、リーダーシップを発揮することなんて、本当にできるのだろうか?

僕は元々、結果を出すために手段を問わないタイプ(機械獲得型)であったが、徐々に周囲との調和を重んじること(外交官型)を大切にしている。
これは、本書によると大多数の人がこの変容過程を通ると書かれている。

では、偉大なリーダーと大多数の違いは何か?
それは、フィードバックの深さとそれを咀嚼し、自身の変容に転換できるかであると解釈した。
つまり、第一領域(結果)・第二領域(行動)レベルの指摘や振り返りでは、次の領域に変容するには不十分なのだ。
相手の枠組みを理解し、受け入れる寛容性であったり、新たな枠組みを創り出す環境を設計するのがうまいリーダーだ。

自分には全然足りてなかった視点や人間性。それに気づくことができた。
英治出版は、ほんと読み応えがある本ばかりだ。素晴らしい!

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