Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers レナード・コーレン
日本人にとって「わびさび」とは何か?
Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers
- 作者: レナード・コーレン,内藤ゆき子
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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わびさびは
不完全ではなかなく未完成のものが織りなす美
謙虚で慎ましなやかなものが織りなす美
ありきたりではないものが織りなす美
日本人の美意識の1つである「わびさび」
しかし、多くの日本人はこの世界観を言葉で説明ができない。
この独特で曖昧な世界観を外国人の視点から説明しているのが、本書「Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers」である。
僅か100ページにも満たない薄い本だが、とても読み応えがある。
西洋的なモダニズムとわびさびは正反対の性質を持つ。
本書でより詳しく具体的に書かれているが、
ざっくり言うと、
わびさびは自然との調和、不完全で変化に富むという。
禅の精神と結びつきが強い「わびさび」は、
真理は自然を見つめるからもたらされる、不要なものは全て除外するといった価値や規律から、
飾り気のない、現実的で素朴、曖昧だがシンプルといった美を創り出す。
そんなわびさびにとって、美しいものと醜いものの境界線は非常に曖昧だ。
いや、醜さそのものを受け入れ、その見方や価値観が生まれ変わるその文脈の中にこそ、優美さが存在する。
散りゆく花や葉が美しいと感じるときは正しくそうだ。儚い命といったグロテスクなモノに、敢えて焦点をあてることで情緒的な感性が磨かれているのだ。
なぜ、わびさびが必要か?
ツイッターの創業者であり、現CEOジャック・ドーシー氏も本書を愛読していると言われている。
では、わびさびを学べば、iPhoneのような美しいデザインをできるようになるのか?と言われれば、そうではない。
もっと、大きな視点で考える必要があると最後の章で、コーレン氏は書いている。
デジタル化が凄まじいスピードで進んでいるが、デジタルでは「わびさび」の世界観は表現できないのだ。極論をいうと、バーチャルな世界は「0」と「1」のコードから成り立っている。その世界では、わびさびのもつ繊細さを表現するには、その「0」と「1」の組み合わせのパターンが無限大となり、実質不可能なのだ。
一方で、我々の生活領域でデジタル占める割合は、年々増えている。つまり、我々の生活からわびさびが消えつつあるということだ。
我々が直感的に美しいと感じなくなる、そんな未来に向かっているのかもしれない。
今一度、本書を読んでその意味をじっくり考えたい。
Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers
- 作者: レナード・コーレン,内藤ゆき子
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
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Wabi-Sabi, For Artists, Designers, Poets & Philosophers
- 作者: Leonard Koren
- 出版社/メーカー: Imperfect Publishing
- 発売日: 2008/10
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